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Similarwebで拓く日立ハイテクのオウンドメディア戦略 ― B2Bニッチ市場における競合分析とマーケットインサイト導出 ―

Similarwebで拓く日立ハイテクのオウンドメディア戦略 ― B2Bニッチ市場における競合分析とマーケットインサイト導出 ―

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競合他社の強みを発見し、それを活用して自分自身の成功を達成しましょう

2025年9月17日(水)、SimilarWeb Japanは「Similarweb Customer Forum TOKYO 2025」をザ ストリングス表参道(東京都港区)で開催しました。本イベントは、Similarwebをご活用いただく企業を招き、最新の事例やノウハウを共有する年次フォーラムです。

事例紹介セッションでは、株式会社日立ハイテクの千野守氏と向尾将樹氏が登壇。グローバル規模でのデジタル競合分析およびマーケットインサイトの導出にSimilarwebをどのように活用しているのか、実際の取り組みを交えながらご紹介いただきました。

【登壇者プロフィール】
千野 守 氏(CSR本部 コーポレート・コミュニケーション部)
グループ全体のオウンドメディアのガバナンスやコンテンツ管理を担当し、会社全体のプラットフォーム統括を担う。

向尾 将樹 氏(マーケティング戦略本部)
中央研究所での研究開発を経て、B2Bものづくりメディアの立ち上げに携わる。現在はマーケティング戦略本部にて、グローバルのデジタルマーケティング戦略立案を担当。

本記事では、当日の講演内容とスライド資料をもとに、日立ハイテクがB2Bニッチ市場でどのようにデータドリブンな戦略を構築しているのか、その具体的な実践内容を紹介します。

▼左:千野 守 氏 右:向尾 将樹 氏

グローバル競争時代におけるデータ活用の重要性

近年、企業が自社オウンドメディアを運営する上で、業界全体のオンライン動向を把握する重要性が一段と高まっています。特にグローバル展開を進める企業にとって、競合他社や業界全体のベンチマークを正確に把握することは不可欠です。

「競合他社はどのようなメディアを運営しているのか」「ユーザーはどこから流入し、どのような行動を取っているのか」——こうした情報をグローバル視点で可視化することは、これまで容易ではありませんでした。

日立ハイテクは、この課題を克服し、データに基づく深い示唆(マーケットインサイト)を得るために、Similarwebの導入を決断しました。

企業概要:多角的なB2B事業とグローバル展開

株式会社日立ハイテクは1947年4月に設立され、2024年度の売上収益は7,565億円。25カ国・地域にビジネスを展開するグローバル企業です。

主要事業は以下の4分野にわたります。

  • ナノテクノロジーソリューション:半導体製造向けのエッチング装置、計測・検査装置など
  • ヘルスケアソリューション:生化学・免疫分析装置、粒子線治療システムなど
  • コアテクノロジーソリューション:電子顕微鏡、各種分析装置(熱分析装置、液体クロマトグラフなど)
  • 産業・社会インフラソリューション:通信インフラ、電池ライフサイクル、デジタル関連ソリューションなど

売上の90%以上がB2B領域によるもので、専門性の高い製品群を中心にグローバル展開を行っています。

Similarweb導入前に直面していた課題

Similarweb導入以前、日立ハイテクが抱えていたのは、膨大な競合および業界のウェブサイトを横断的に把握することの難しさでした。特に次の3点が大きな課題でした。

  1. 競合・業界全体の正確なベンチマークの実施
  2. グローバル視点でのオウンドメディアの全体像把握
  3. ユーザー行動や流入経路の可視化

また、Similarwebのような外部データサービスはコスト面のハードルも高く、導入には慎重な検討を要しました。

導入プロセスと活用ステップ

日立ハイテクは、段階的にSimilarwebの導入を進め、社内での理解促進と有効活用を図りました。

  1. トライアルフェーズ(レポート導入)
      コンサルティングサービスを利用し、まずは自社が必要とする情報をレポート形式で取得。実際のデータが自社分析に有用であることを検証しました。
  2. 本格導入(グローバルセグメント)
      トライアルで得られた示唆をもとに、より深い分析を行うため、本格的な契約へ移行。グローバル全体を対象にデータを収集・分析する仕組みを整えました。
  3. 地域拡張(国別セグメント導入)
      各国市場ごとの特徴やデータニーズが高まったことから、2025年1月より国単位のデータ活用を開始。グローバルからローカルまで、より精緻な分析体制を確立しました。

コーポレート部門における活用の位置づけ

CSR本部が担うコーポレート部門では、個別のマーケティング施策よりも、競合企業の全体的な動向や主要キーワードの把握を重視しています。

Similarwebのデータを活用し、各社のドメインごとのトラフィックを集計・比較することで、業界全体の市場構造を可視化。複数ドメインを持つ大企業を1つの競合グループとしてまとめ、全体的なマーケットマップを描く分析も行っています。

これにより、「業界内で各企業がどのポジションにいるのか」「どの分野に注力しているのか」といった俯瞰的な理解が可能となりました。

マーケティング戦略本部での実践事例 ― B2Bニッチ市場でのデータドリブン分析

次に紹介されたのは、向尾氏が所属するマーケティング戦略本部での具体的な活用事例です。

同本部では、営業情報・市場データ・ウェブデータといった社内外の情報を統合し、データドリブンなマーケティング戦略立案や営業力強化を推進しています。その一環として、「リチウムイオン電池ソリューション」サイトのグローバル展開に向けた調査・分析をSimilarwebで実施しました。

プレ調査①:国・地域および言語の把握

まず、同社が注目する11の国・地域と8つの言語をリストアップ。

単に国と公用語を対応させるのではなく、英語が世界共通語として使われる一方で、中国語(簡体字)などの地域特有の言語が経済圏ごとに存在する実態を明らかにしました。

この分析結果は、「どの地域で、どの言語で情報発信すべきか」を検討する上での重要な判断材料となりました。

プレ調査②:B2Bニッチ市場ならではの検索キーワード分析

日立ハイテクが扱う製品は、研究者や製造業の担当者など専門的な層を対象としており、一般消費者とは異なる専門用語(ワーディング)が使われます。

例えば「リチウムイオン電池」という言葉ひとつをとっても、学術用語、産業用語、一般消費者向け用語では表現が異なります。狙うべきキーワードを誤ると、戦略そのものがずれてしまうリスクがあるのです。

Similarwebの「国フィルタ」や「キーワードジェネレーター機能」を用いて、各国・地域で実際にどのようなフレーズが使われ、どれほどの検索ボリュームがあるのかを徹底的に調査しました。

リサーチ結果から得られた重要なインサイト

  • インサイト①:英語・母国語以外の言語利用の実態
    シンガポールや英国などアジア圏外でも、中国語による検索が一定数存在していることが判明。これは華僑ビジネスなど国境を越えたB2Bニーズの存在を示唆しています。
  • インサイト②:キーワードの意味の違い
    日本と韓国で「リチウムイオン電池」と「リチウム電池」の検索比率を比較したところ、日本では明確な差がある一方、韓国では両者の差が小さい(約1.3倍)ことが確認されました。
    画像検索の結果からも、日本では「リチウム電池」がボタン電池を連想させるのに対し、韓国では両語の使われ方に大きな差が見られないことがわかりました。

これらの結果は、「技術用語の意味合いは地域によって異なる」という重要な示唆を与えました。

導出されたマーケットインサイトと戦略への反映

Similarwebを活用して得られた分析結果は、日立ハイテクのグローバルマーケティング戦略に以下のような具体的な影響を与えました。

  1. 多言語展開戦略の再考
    英語だけでなく、中国語などの地域言語を含めた多言語化の必要性を検討。
  2. 地域別SEO/リスティング戦略の見直し
    翻訳ベースの一律なグローバル発信ではなく、現地の言語特性とユーザー行動を反映した戦略設計が重要であると再認識。

特に「リチウム電池/リチウムイオン電池」の分析結果は、SEOキーワード選定方針の見直しに直結しました。日本の常識では除外されがちなキーワードが、他国では有力な検索語として使われていることが明らかになり、より多くの潜在顧客にリーチできる可能性が示されました。

今後の展望とSimilarwebへの期待

日立ハイテクはSimilarwebを、グローバルレベルでの市場分析と競合理解の中心ツールとして位置づけています。今後は、短期・中期・長期の計画をもとにデータドリブンな文化を全社に定着させていく方針です。

  • 短期(3ヶ月以内):主要競合のダッシュボードを構築し、事業部や地域拠点に展開
  • 中期(6ヶ月以内):オウンドメディア戦略や広告施策を評価できるデータ基盤を構築
  • 長期:グローバル共通KPIを設定し、ブランド戦略・市場分析基盤として定着

また、Similarwebへのリクエストとして以下をあげています。

  • 複数ドメインを統合して分析できる「グループ化」機能の強化
  • ウィジェット更新や変更情報のタイムリーな共有

まとめ

日立ハイテクの事例は、B2B製造業におけるグローバル市場分析の新たなアプローチを示しています。

Similarwebを活用することで、国や言語ごとのユーザー行動を“ファクトベース”で可視化し、「翻訳ありき」ではない真のローカライズ戦略を実現しました。

今後も同社は、データに基づく意思決定を通じて、B2Bニッチ市場における競争優位の確立を目指していきます。

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by Senzo Tanaka

マーケティングマネージャー

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